大悲庵のブログ

高野山真言宗大師教会

「無魔成満」

多くの僧侶の方のサイトを見る機会があります。プロフィールを拝見していて、真言宗僧侶までの過程(得度→授戒→四度加行→灌頂)について「無魔成満」と書いておられると、羨ましいな、と思います。兄弟子さんも四度加行は楽しかったらしいです。自分は辛かったです。理不尽な辛さは今も陰を落としています。

けれども順調であったならどうだったか、と考える時がよくあります。教学の基礎から大学に通学し学ばなければと、足搔かなかったかもしれません。今では自分の勉強が足りておらず魔が入ったのだ、と本当に思います。順調ではなかったからこそ、山に住んで高野山大学院での指導教官であった佐藤先生を始め、素晴らしい先生方の事相・教相の講義、指導を受けることにつながったのだと思います。

そして「無魔成満」とはいかなかった過程の中で、僧侶にもいろんな方がいることを知りました。ひどい仕打ちをした後、相手の後ろに「力」が垣間見えた時、必死で自己保身に走る方、それまでと打って変わって猫撫で声で接して来る方、目の前にしました。
いつでも、辛く苦しかった気持ちを思い出すことが出来ることは、謙虚でいることに役立ちます。「加行の一座の時間が〇分で人より早かった」と自慢する女性もいましたが、なんの意味もないということが今ならわかります。自分は死ぬまで地道に勉強しようとつくづく思います。