大悲庵のブログ

高野山真言宗大師教会

法話以外の難しさ

高野山の布教から静岡西山寺まで戻ってまいりました。帰宅後、疲労困憊で動けません。休む暇なく、明日からご葬儀の助法で愛知県です。

高野山での法話は布教師講習で先生方に指導いただいたように、どんなお話をしても結論は同じです。『安心あんじん』を説くわけです。(あんしんではなくあんじんです)わかりやすいお話、風景が目に浮かぶお話、ということも大切なのかなと思います。

しかし‥法話以外の部分の方が難しかったかもしれません。法話が終わるのを待って、様々な相談や質問を受けました。「密教とはなに」「真言宗はなぜ真言宗というの」「十八本山を教えて」「金剛界曼荼羅胎蔵曼荼羅の違い」等々はまだ重くありません。お身内の戒名のご相談や、親戚で高野山参りをしない若い方についてのご相談、在家の方のご自宅での勤行で護身法は組んではいけないか、etc、etc・・
中でも四国八十八か所を残すところあと少しの年配の男性、八十八周る意義を悩んでおられました。元々当方は四国遍路からこの道に入ったこともあり、自分の一番最初のお遍路で感じたことなどを一生懸命お話したところ、突然涙を流され、お帰りになりました。
自分に出来ること、お答えできることの範囲で全力で対面致しましたが、十分なご対応が出来たかどうか。法話よりも大変かもしれません。

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2024年4月西山寺薬師護摩

静岡西山寺で薬師護摩出仕でした。お釈迦様の誕生日である花まつりでもありました。
今回、旧知の方が鹿児島から出仕してくださいました。静岡西山寺ご住職とも、当方とも僧侶になる前に知り合い、ご縁があるお方です。教師試験合宿では落ち着いた綺麗な所作に「すごいなー」と思っておりました。僧侶になった後も伝授で高野山で偶然ご一緒したり、と細々とご縁が続いており、今回薬師護摩に出仕くださいました。
わざわざ足を運んでくださること、実はなかなか出来ることではありません。f:id:daihian:20240411141355j:image

また、今回当方が来週本山駐在布教に出仕することから、薬師護摩の信徒様たちの前で一度法話をしていきなさい、との西山寺ご住職のお気遣いで静岡では初めてお話させていただきました。f:id:daihian:20240411134413j:image

戒名と多様性

戒名をお付けする時、必ず故人様のお人柄をご遺族に伺います。
「穏やかで優しい人でした」が、とっても多いのです。世の中には穏やかで優しい人しかいないのでは、と思うほどです。自分の身近な人には穏やかな人は見当たらないので、羨ましいと思いつつ、故人様の生きてきた道を思い、一生懸命戒名を考えるのです。
今までで印象深かったのは「清濁併せ呑む人でした」というお人柄。人間らしくて自分は好きです。当方の肉親は激しい人でした。ましてや僧侶の世界は性根の善い人ばかりかと期待していたけれど、そうではない、と加行で知り絶望したものです。世の中が穏やかで優しい人ばかりなら、犯罪など起こらないのではないか、と思う。自分の知らない家庭、世界があるのだと、ただただ羨ましく思うのです。

仏教では当然「父母の恩」を重んじるけれども、世の中に「毒親」という言葉が生まれ、ほっとした人も多いと思う。最近になってようやく各宗派でも「多様性」を発信してくださるようになり、ジェンダーのみならず様々な多様性も認めてくださると更によいことと思います。生まれた時から恵まれて育った人ばかりではない。そうでない人の方こそ心のよりどころを求めているし、すがりたいと思っているのだと私は思う。



 

2024年西山寺 御影供

静岡西山寺で御影供(宗祖弘法大師様の命日)法要でした。檀家様にお集まりいただき、一緒に般若心経のお唱えも致しました。そして、お寺で昨年咲いていた蓮の株分けも。
遠方より、出仕いただいた職衆の方、ありがとうございました。
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坂東三十三観音巡礼

数年ぶりに坂東観音霊場の先達をしてまいりました。6日間で全周という行程。
急遽依頼を受け、今月はこの期間のみ法務予定が入っていないというタイミング。昔、のべ10,000名以上のご案内をした坂東の観音様からお礼奉公しなさい、と言われた気が致しました。以前使っていたボロボロになったお手製資料をすべてチェックし、持参。今更ながら、その資料に書き込んできた多数の書き込みを見て、必死に過ごした先達の経験が自分にとって本当に宝物であり、糧なのだと感じました。

そして、今回のご案内からも多くの学びがありました。全力で臨んだものの、もっと目を配り、気を配り、という配慮が必要であると痛感。それでも人に恵まれて、楽しい観音巡礼でした。一か寺、一か寺、「ありがとうございます。ここ数年こんなことをしていました。皆様の願いが届きますように」と観音様にご挨拶。感慨ひとしおのお参りでした。お会いできなかった昔お世話になったご住職様、遥拝の観音様がありましたので、もう1回くらいは案内の機会が数年後にあるのかもしれません。観音様に今度はどんなお土産話が出来るのか、日々精進してまいります。f:id:daihian:20240319130108j:image