大悲庵のブログ

高野山真言宗大師教会

畏怖と信仰心

先に書いたように高野山真言宗の場合、「得度」をしただけでは、"本来"ご葬儀などを執り行うことは出来ません。しかしその段階で葬儀を執り行なっている方がいらっしゃいます。

その得度の段階で留まっている御仁(定年後に得度し加行する気は無)が「これから僧侶になりたい」という方々を前にして行法のさわりを指導(!)した時のエピソードを聞きました。内容は「こういう風に仏具を動かすと参列者からカッコよく見える」といったものだったそうです。1000年以上伝わる作法を畏怖の念もなくアレンジしてしまっている・・その御仁の別のエピソード。ある時、赤色の折五条(簡易的な袈裟)をつけていたため、見かねた他派の先輩僧侶が「緋色(赤色)の袈裟は一番僧階(位)の高い僧侶しかつけてはいけないものなのですよ」とやんわりと助言したそう。当然この御仁は加行をしていないので僧階を持っていません。それからずっと後、その御仁のなさる葬儀を見たことがありますが、赤色の七條袈裟(本格的な袈裟)をつけておりました・・
カッコよく見えることに終始し、畏怖がないのは信仰心がないことの裏返しに思えてなりません。

得度から先に進めない

「得度はしたけれど先に進めない」偶に相談されます。

高野山真言宗の場合、「得度」をすると本山に僧籍簿が作られます。本来、それだけではご葬儀などを執り行うことは出来ません。「授戒」「四度加行」と進み、「伝法灌頂」に入壇して阿闍梨となります。ここで伝授を受けることが出来る立場になり、いよいよ『僧侶』としてのスタートなのだと思います。葬儀を含む様々な作法や行法(諸尊法や理趣法等々)を面授(対面で伝授)にてお授けいただき、初めてそれらを自分で行うことが出来ます。

インターネットで得度させてくれる寺を見つけて「得度」したものの、お寺が先に進ませてくれない、と悩む女性がいらっしゃいました。話の内容から女性には本山度牒がおりていないことがわかりました。その寺独自の得度(本山未公認)であり、それでは本山での加行など先に進むことはできません。
また「「得度」から先に進みたいけれど、加行の為に高野山で何か月も過ごす時間がない。でも先に進みたい。どうにかならないか」と悩む方がいらっしゃいました。高野山以外でも加行はできますが、かかる日数は同じです。ご家庭の状況が許さない、ということであれば今はその時期ではないのかもしれません。
兄弟子には加行の為に長年勤めた会社を辞めた方もいらっしゃいます。早くに両親を亡くし家庭を持たない方もいます。自分もそうです。また何度か加行に入るチャンスがあったものの、寸前で行けなくなったり、体を壊したりして結局還俗なさった方もおられます。

いずれも自身の境遇に思い悩まれたのだと思いますが、身近に相談できる相手がいない状況が気の毒です。先を歩いている僧侶で親身に相談できる方が周りにいてくれれば、と思わざるをえません。そのような方がいないと僧侶になった後でも慣例や常識非常識、言葉の裏側を読むことなど、困ることが次々に起こるかもしれません。

お坊さんになりたいのですが

「僧侶になりたいのです」偶に言われます。

その理由はなんでしょう。
世襲ではなく僧侶になった方、周りにおられます。自分も世襲ではありませんし、親戚が寺院というわけでもありません。
定年後に僧侶を志す方には「晩年も先生と呼ばれたい」という謎な理由が垣間見える方が周りに複数おられます。

僧侶になりたい方にとって一番大切なのは信仰心なのかな、と私は思います。信仰心がなければ僧侶になってもお大師様、仏様のお手伝いは出来ないのでは。そうは言っても僧侶を職業・ビジネスと割り切っていらっしゃる方もおられます。もちろん信仰心が篤くとも僧侶にならない方もおられます。

先輩僧侶からこんなお話を聞いたことがあります。四国霊場の先達をしていた頃、尊敬する大先輩の先達の方を「木村先生」とお呼びしたところ、「『先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし』、"さん"でいいよ」と返され、ますます尊敬するようになった、とのこと。

2024年護摩供養

2024年正月 静岡西山寺護摩壇にて。
年明けから心が痛む出来事が起こっています。こうして護摩を修法出来ることは当たり前ではないのだと、改めて思います。生かされていることに感謝し、どなたかのお役に立てるよう努めてまいりたいです。

令和6年お正月

あけましておめでとうございます。
元旦は静岡西山寺星祭り護摩に出仕です。昨年よりも多くの方にご参加いただき50人越え、ありがたいことです。護摩堂のキャパシティ的には限界に近いかもしれないです。午後2時からは不動護摩、こちらは少人数で貸切感満載でした。
多くの方のおかげで無事に本年も星供養ができました。感謝しかございません。

明日は非公開で当方が護摩供養させていただく予定です。当方をずっと見守ってくださっている信徒様のための供養護摩です。

西山寺お正月準備

お正月は静岡西山寺の元旦護摩祈祷です。まずは大晦日から泊りで出仕してくださる方たちをお迎えするお布団準備です。お掃除はもちろん、元旦の甘酒ふるまいやお茶菓子準備。また檀家様が鏡餅やのし餅をお持ちくださいました。ありがたいです。
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